こんにちは、がんです。
いつもはパシオン・エ・ナチュール心斎橋店のソムリエール真弓がお送りしているコーナーですが、先日どうしても自分が紹介したいワインが入荷してきましたので、今回だけ特別にがんがお送りさせていただきます。
ⅤdT モン・ヴァン・ブラン ‘05 ジャン・フォワイヤール
そう、ジャン・フォワイヤールの白なんです。
「あれ、ジャン・フォワイヤールって赤しか造ってないんじゃないの?」
いえいえ、2004年と2005年の2年間だけ白ワインを造っていたんです。ただこれまで出荷はされずにカーヴで眠っていたんですね、これが。
その辺りの経緯を少々。
ジャン・フォワイヤールとフィリップ・ヴァレット氏(ボージョレのお隣、マコンでトップクラスの造り手)は大親友。
ジャンの家で白ワインを飲もうってなると必ずといっていいほどフィリップ氏のワインが出てくるくらい、ジャンもフィリップ氏のワインのクオリティは認めています。
そのフィリップの影響もあってか、2004年から2005年にかけてジャンはマコンの買いぶどうで白ワインを醸造、瓶詰めまで問題なく終わりました。
お味のほうももちろん、白ワインは初めて造ったにも関わらず並のマコンを一瞬で抜き去るくらいの出来だったそうです。
ところが2ヴィンテージともAOCを申請したものの、
「マコンらしくない。」
との理由で却下。
ワインのクオリティに絶対の自信を持っていたジャンは当然怒って、出荷せずカーヴに放置されることになり、白ワイン造りも止めてしまいました。
その後もカーヴの奥で眠り続けていましたが、自分が滞在していた間にこのワインの存在を知って驚き、飲んでみてその美味さにまた驚き、つい思わず独断で、
「これウチが全部買うから日本に入れてよ。」
ってジャンにお願いしてしまいました。(5回くらい言うたかな...)
残念ながらその時の返事はノーだったんですが、
(OKやったら多分会社に怒られてたでしょうね、1000本も売れるんかっ!! って(笑))
その後ヴァンクゥールの現地担当、村木さんが頑張って粘り強くジャンにお願いされたんだと思います。
今回、念願叶ってようやく日本に届きました。
うんちくはこの位にして飲んでみましょうか。
抜栓したては若干香りがこもっている場合があります。
その場合はグラスに注いで少しだけお待ちください。デキャンタはいりません。5分も待つと少しずつ透明感のある華やかな香りがふんわりと出てきます。
で、味わい。
醸造の際にはフィリップ氏から色々とアドバイスを受けたんでしょうか、キリッと鋭い酸と豊富なミネラル感はフィリップ・ヴァレット氏のワインに通ずるところがあるわーと感じましたが、それに加えてこのモン・ヴァン・ブランは優しさに満ちてます。
酸、ミネラルの良さを邪魔することなく、ふんわりと包み込むような柔らかさがあるんです。これがジャンのセンスなんでしょうね、流石やわ~~。
自然派好きの某兄貴もこのワインを飲んで一言、
「あ~~、めっさええわ~~。」
う~~ん、美味しい赤ワインを造る人は白ワインを造っても美味しいものが出来るんですねー。
で、そのクオリティもさることながら、驚くのはその価格。
倍の値段でしれっと出しても納得されそうなコストパフォーマンスの良さ。
ⅤdTとはいえ、もう少し利益とったらいいのに...と思うのは自分だけですかね。
こんな素晴らしいワインを造ったジャンに、ジャンと交渉して日本に輸入してもらったヴァンクゥールさんに感謝、感謝。みなさん、ぜひ一度お試しください。
ただ、数はほんとに少ないのでお早めにどうぞ。
頭で考えないで、身体が求めるワインを飲もう。
パシオン・エ・ナチュール
あ、そうそう、今年のジャンのボージョレ・ヌーヴォも間違いなく美味しく仕上がりますよ。
え、去年行ってきたからって贔屓しすぎ!?
いやいや、そんなことはありません。
現場の仕事ぶりを見させてもらったからこそ言えることなんです。
今年は去年より収穫日が早かったので、もうある程度の発酵が終わって圧搾してる頃かもしれませんね。
う~ん、楽しみです。