ボンジュール、がんです。
いよいよワインも小松屋倉庫に届き、出荷も始まっているようです。
今回で第7弾となるキュヴェ・スーリエレポートもこれで最後、ギリギリ間に合いました...かね?
こうして振り返ってみると、カーヴでの作業だけでいうと大した事はしていないのですが、ワインの状態によって一喜一憂したり、今後のワインの変化を想像したり、あの作業はいつするのがいいだろうか、と頭の中は四六時中このワインについて思い悩んでいました。
もちろん悩んだから美味しくなるとは限らないのですが、現状出来ることは全てやりつくせたのか、
これまで積み重ねてきた知識は活かしきったのか、と自分に問うていたのだと思います。
自分の出来る事をやり尽くして、その結果美味しくなければ自分も諦めがつくというか、
素直に受け入れて次に取り組める、と思ったんでしょうね。
そして何より一年に一回しか体験できない仕込み作業ですから、そこから学べる事を余すことなく吸収したい、
またそうする事がこうした機会を与えてくれたスーリエさんに少しでも今の自分がお返しできることなのかなと
思います。
さて、デキュヴァージュも終わってカーヴでのお仕事もひと段落、あとはワインが落ち着くのをゆっくり待ちます。
ワインが落ち着いた、という一つの目安として挙げられるのは、マロラクティック醗酵が起こったかどうか、
でしょうか。
ワインによってはアルコール発酵後すぐに起こったりもするマロラクティック醗酵ですが、
キュヴェ・スーリエに関してはどうした訳かそれがなかなか始まらず、冬の間はそれで気を揉み続けておりました。
マロラクティック醗酵を促すために、天気の良い日には屋外に出して陽に当てたり、なんて事もやっていました。
そうこうしているうちに春になり、4月も下旬に差し掛かった頃でしょうか、ようやくワインの香味に変化があり、
マロラクティック醗酵が起こったことが確認できました。
この醗酵を経ることでワイン中の酸味が変わり、時に酸っぱいとまで思えていたワインがぐっと柔かくなりました。
まだまだ幼さが残っていたのがぐっと大人びてきたイメージです。
そうしてある程度香味も安定してきたので7月に行うスーリエの瓶詰めに便乗してその際に瓶詰めしてもらうことに。
それに向けてまず澱引き、つまり、タンク内の上澄みのワインだけを吸い取って底に溜まった澱を取り除きます。
澱引きの仕方は色々ありますが、小さいタンクなのでポンプを使わずにリフトで持ち上げて自然の重力でワインを移していきます。
こちらが澱。
今回は取り除いていますがこの澱、実はワインに(良くも悪くも)色んな影響を及ぼす影の立役者です。
そして澱引き後、-長らく悩みましたが-、少量ですが酸化防止剤を添加することにしました。
添加量は20ppm、つまり、ワイン1Lに対して0,020g の割合です。
イメージが湧きやすい言い方をすると、750ml 瓶に一滴たらすかたらさないかくらいの量。
ちなみにEUにおける赤ワインの酸化防止剤の規制量は160ppm、なのでこの8分の1の量。
また AVN と呼ばれる自然派ワイン団体が規定している量も赤ワインで30ppm 以内、
認証機関 Demeter での規定量で70ppm以内、ということからも20ppm という量が極微量だということが分かるかと思います。
こちらのシリンダーに入っているのが酸化防止剤。
量にして 60ml と少し、タンクに入っている約350Lのワインに対してこの添加量が20ppm になります。
はい、これで瓶詰めの準備は完了。
スーリエでは瓶詰めを業者に委託しているのであっという間に瓶詰めが行われ...
エチケットが瓶詰め後に出来上がったので...
地道に手貼りです...
(もしかしたら微妙にずれてるエチケットもあるかもですが...汗)
そして箱詰め、出荷用のパレットを作っていきます。
そうしてレポート第一弾に書いたように9月下旬、めでたくこちらを出発したというわけです。
まさか自分がワインを仕込んで、そのワインが大阪に流通していってお客さんに飲まれるだなんて、
想像しただけでドキドキが止まらないですが、またそれ以上にワクワクもします。
souriez (笑顔)というワイン名の通り、このワインの周りにたくさんの笑顔が溢れますように。